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その耐力用合板に吹き付け断熱は大丈夫??ちょっと怖い壁体内結露の話

オートリホーム社員ブログをご覧の皆様こんにちは。営業の北條です。

先日両親をつれて北海道に行ってきました。10月下旬ということもあり、北海道では冬の気配をひしひしと感じました。

北海道の冬は皆様ご存知の通り、徳島県とは比べ物にならないほど厳しく、時にはマイナス10度とかいっちゃう世界です。

でも室内は20度強に保たれており、建物の中にいる限り寒さを感じることはあまりありません。

20度の空気が保持できる水蒸気の量は、人間が快適と感じる相対湿度50%程度で、おおよそ8g/㎏が含まれいています。

もし冬にこの空気が壁の中に入り、外気側の構造用合板に触れてしまうと、壁の中で結露を起こしてしまいます。所謂壁体内結露というやつです。

これを防ぐために、部屋の内側の壁には防湿気密シートというものをきっちり施工し、水蒸気が壁内に回らないように工夫されています。

寒冷地では特にしっかりと。

わざわざ太字で書いたのは理由があります。

じつは、徳島県のような温暖と思われている地域では吹き付けウレタンなどの断熱材を使った場合、ある条件を満たすと防湿気密シートを省略してもOKという規定になっています。

なので、現場で吹き付けるウレタンフォーム(アクアフォームとかアイシネンとか)を採用している多くの会社で、防湿気密シートを施工していません。

でもこれ、省略できるけど、建物のことを考えると絶対やったほうがいいです。

なぜ防湿気密シートが省略できるのか

省エネルギー等級という住宅の省エネルギー性に関する性能を表す等級があります。

最高等級は4で、この等級をとるためにはある一定の規定をクリアする必要があるのですが、この規定の中に、発泡ウレタン(日本工業規格A9511(発泡プラスチック保温材)に規定するもの)を使う場合は防湿層を設けなければならない。

というものがあるのですが、これには注釈があり、

ただし、次のいずれかに該当する場合は、防湿層を省略することができます。

a) コンクリート躯体又は土塗壁の外側に断熱層がある場合

b)床断熱において、断熱材下側が床下に露出する場合又は湿気の排出を妨げない構成
となっている場合

c)断熱層が単一の材料で均質に施工される場合、断熱層の外気側表面より室内側に施
工される材料の透湿抵抗の合計値を、断熱層の外気側表面より外気側に施工される
材料の透湿抵抗の合計値で除した値が、2以上(屋根は3以上)である場合

d) a)からd)までに掲げるものと同等以上の結露の発生の防止に有効な措置が講じられ
ていることが確かめられた場合

と定められています。

このCの但し書き規定を適用し、防湿層を省略する会社が多くあるのです。

防湿気密シートを省略するリスク

防湿気密シートがないということは、壁体内に室内から水蒸気が流入します。

これが、条件によりますが、断熱材と耐力壁に使った構造用の合板との間で結露するリスクがあるのです。

どういう条件で結露が発生するのかは、気温や湿度の条件と透湿抵抗値、断熱材の熱抵抗などを用い、室内側から室外側のどの部材のどの位置で結露するか計算することができます。

温暖な地域である徳島県では室温20度 相対湿度50% 外気温4度 相対湿度60% というよくある冬の条件であれば内部結露は起こりません。

しかし、設定する室温を上げる、もしくは外気温を下げる、室内側相対湿度を上げる、室外側相対湿度を下げるなど様々な条件でシミュレーションすると、外壁に厚さ80㎜程度のウレタン吹き付けではほぼ壁体内結露を起こします。

ちなみに、内部結露を計算できるエクセルシートをもちい、外気温を2度にすると、外壁側の耐力面材が合板の場合は、結露してしまいました。

気候は暖かい年もあれば寒い年もありますので、ある年は壁体内結露を起こさないがある年は起こす。みたいな感じになってしまいます。

防湿気密シートがあれば、壁内に水蒸気が流入しない、もしくはごく少量のみ流入するため、壁体内結露を起こすリスクをなくすことができます。

北海道などの寒冷地で防湿気密シートが必ず施工されているのはそのためです。

壁体内結露のリスク

もし壁体内結露がおこってしまった場合のリスクについてはこの日経の記事をご覧ください。

オートリホームでは防湿気密シートを正確に施工し、壁体内結露を起こさない住宅を手掛けています。

施工してしまえばわからない(お客様に訴求しにくい)個所も手を抜かずに施工することで、生涯住居費削減をしています。

もしいま検討中の工務店、ハウスメーカーの断熱気密施工に疑問があれば、お気軽にお問い合わせくださいね!

断熱マニアの北條が計算によってエビデンスをお出しします!

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