間取り。優先させるべきは耐震性?デザイン?温熱環境?
オートリホームブログをご覧の皆様、新築営業部の北條です。
うっとうしい梅雨の季節が当然ですが、やってきてしまいました。。。この時期は、湿度が高く、じめじめして本当に嫌いです。ゴルフの予定も立てにくいし、イベント計画しても天気の心配しなきゃダメだしってことで、自分の中では2番目に嫌いな季節です。(一番は春です。花粉が・・・)
ということで、オートリホームのホームページリニューアル後一発目の記事を書きたいと思います。
新築をお考えの皆様は、まず計画している敷地に、ご要望の間取りがどのように入るのかを検討するところからスタートします。
間取りを決めていく際、皆様は何を優先されますか?間取りの使いやすさは当然考慮するとして、間取りによって耐震性や温熱環境が変わってくることを理解したうえで、提案を受けていますか?
この記事では、間取りによって耐震性能や温熱環境にどのような影響が出てくるのか、わかりやすくお伝えしていきます。
どの方位に道が付いているかで変わるデザインと優先順位
お客様からオーダーを受けた後、私がまず説明するのは、土地のどの方角に道路が付いているかで、得意なデザインが変わること。
オートリホームが優先するのは「生涯住居費ができるだけ少なく済む家」なので、同じような暮らしを営んでも、光熱費ができるだけ少なくなるように、日照と窓を最適化します。
ということは、南側にできるだけ大きな窓を取り、それ以外の方角の窓はできるだけ小さくしたいと考えて提案します。
なので、南側に道路が付いている場合とそれ以外の方角に道が付いている場合、窓の大きさやデザインが変わってきてしまいます。
南側に道路がある場合
南側に道路がある場合は、家の顔(一番かっこよく見える部分)側に大きめの窓がたくさん並ぶ感じのデザインとなりがちです。
たとえばgoogleで「南向き 住宅 デザイン」のように検索すると・・・
のように、正面に比較的大きめの窓が並ぶようなデザインの住宅が多く見つかります。
冬、南向きの掃き出し窓から得られる太陽光による熱量は、こたつ一台分。暖房費のことを考えるとこの熱量を捨てることは考えられません。なので、南には大きな窓を取っていくようになります。
ということは、このようなデザインの住宅は設計しにくいということです。
東西に道路がある場合
東西に道路がある場合は、住宅の顔となる部分のデザインに関しては、比較的融通が利きます。
しっかり日照対策(外部ブラインドやアウターシェード等)をすれば、大きめの窓を取ることも、小さい窓だけでデザインすることも可能です。
東西に道路がある場合、注意しなければいけないのが、隣棟から南側の空きがどのくらいとれるかという点。
この空き距離が短ければ、南側の窓から日照を得ることが難しくなってしまうので、吹き抜けの検討が必要となってきます。
徳島県であれば、隣棟が一般的な屋根の2階建て住宅(こんなデザイン)の場合、7m空いていれば一年間で最も太陽高度が低い冬至の日でも、十分な日照を得ることができます。
反対に、住宅密集地などで、隣棟との距離がぜんぜん取れない場合などは、南側の窓でもできるだけ小さくなるような設計をしないと、熱収支(年間に入ってくる熱ー出ていく熱)がマイナスとなりますので、注意が必要です。
北側に道路がある場合
北側道路の場合は、家の顔となる部分の窓は小さめの窓が並ぶこととなります。
間取りを想像していただくと、わかりやすいのですが、住宅の間取り北側には、トイレや風呂、洗面、収納などのように、小さい窓しか必要のない場所ばかりなのがイメージしやすいかと思います。
ということは、さっきの南側道路の場合にデザインしにくかったこんな家はすごく描きやすいということです。
間取りにおいて、注意しなければならないポイントは東西に道路がある場合と同じで、南側隣棟からの空き寸法によって、南側の窓や吹き抜けの有無の検討が必要となります。
窓の配置や間取りによる耐震性能への影響
窓の配置や間取りによっては、建物の耐震性に影響を及ぼす可能性があります。とうぜん、ご提案時には泰信等級3が取得できるような構造となるよう設計した間取りでご提案していますが、ご要望によっては、影響を受けてしまうこともあります。
そんな時は、耐震性能に影響を及ぼすことをご説明したうえで、その要望を採用するかどうか、お客様に選んでもらいますが(できるだけあきらめてもらうように誘導しつつ)ほとんどの方は、耐震性を犠牲にしてまで選択されることはありません。
できるだけ南側に大きな窓を取りたいけれど・・・
温熱環境を考えると、住宅の南側にはできるだけ大きな窓を取りたいのですが、それと同じくらい、南側の壁の量も重要となってきます。
例えば、南北に細長ーい土地の場合、南側に窓を大きくとろうとすると、南側の壁の量が足りなくなったりすることがあります。そんな時は、開口部を大きくとりつつ、それ以外の壁で壁量を確保できるよう注意して設計しなければなりません。
デザイン性と耐震性能と構造材コストの話
オートリホームに限らず、最近の住宅は高気密高断熱化が進んでおり、昔の住宅のように細かく間仕切らなくても、快適な温熱環境を得ることができます。1970年代の間取り代表として、のび太君の家、21世紀の間取りとしてオートリホーム新モデルハウスの間取りを見てみましょう。
オートリホーム新モデルハウス1F
オートリホーム新モデルハウス2F
ご覧いただいたように、オートリホーム新モデルハウスのほうが、全然壁の量が少ないことが見てわかります。もし、1970年代の住宅で、こんなオープンな間取りを設計してしまうと、超極寒の住宅になることは間違いありません。
現在のしっかりした断熱、気密、窓性能があってこその間取りだといえます。
ただし、細かく仕切った間取りにも優位な点があります。
それは、壁量を多くとれ、構造材のコストを安くできるということ。
大空間を計画すればするほど、構造材が大きく太くなりますので、小さな構造材だけで計画できる間取りは住宅のコストを抑えるという面では有利です。
また、壁の量が多くなりますので、その分耐力壁を多く計画でき、住宅の耐震性能を高めることができます。
ただし、1970年代の、のび太君の家が今の住宅と比べて強い!とはならないので、注意が必要です。当時の耐震基準と現在の耐震基準は全然ちがうので、壁が多いから強いということではありません。もし現在の耐震基準や地震に対する考え方を用いて、つまり2020年の設計技術、住宅構造技術をもちいてのび太君の家を建てれば、構造コストを抑えつつ、地震に強い建物とすることができます。
・・・できますが、反面、細かく仕切っているので、冷暖房費や空調機器代、ドアや内装建材費は高くつきそうなので、やはり生涯住居費を抑えつつ快適に暮らすためには、オープンな間取りのほうが優位性がありそうです。
間取りによる耐震性能と温熱環境の変化まとめ
と、このように、皆様からのご要望をいただいた後、多くの項目が最適化されるように設計した間取りをご提案させていただいていることが、お伝え出来たかと思います。
生涯住居費をできるだけ少なく済む家になるよう、考え抜かれたオートリホームの提案をぜひ受けてみてくださいね!
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